※一気飲みの強要はやめましょう
こんにちは。今回の記事は高齢猫の死因のトップでもある腎臓病についてのお話です。
冒頭のマンガは記事内容となんの関係が…? と思った方いるでしょうか。以前こちらの記事でも書きましたが、腎臓病対策として「お水をたくさん飲ませる」ことが有効です。ということで、腎臓病についてがテーマの今回の記事ではぴーちゃんに厄介飲み会に参加してもらいました。愛ゆえの一気強要ですね。(愛があっても一気の強要は危険行為です、ダメゼッタイ)
■猫の腎臓病(慢性腎不全)ってどんな病気?
■どうして猫は腎臓病になりやすいの?
■腎臓病の症状・予防方法は?
■腎臓病を治す方法は無いの?
■「猫の腎臓病治療薬」って何?
猫の腎臓病って?
腎臓病(慢性腎不全)とは?
腎臓にダメージを受け十分に機能しなくなることを「腎不全」といい、その状態が長期間続くことを「慢性腎不全」といいます。
・体内の老廃物を尿として排出する
・水分バランスを整える
・血圧を調整する
・血液を作るホルモンを生産する
猫が腎臓病になりやすい理由
猫は祖先が砂漠などの水の少ない地域だったことから、少ない水分で効率よく生活できるよう腎臓の機能が強い生き物です。その反面、よく働く腎臓には年とともに大きな負担がかかってしまいます。腎臓は一度壊れると再生できない臓器です。
ほとんどの猫は加齢によって腎臓機能が低下してしまうため、高齢猫の死因の第一位にあげられる腎臓病は「猫の宿命」ともいわれています。
猫の腎臓病の症状と予防
こんな症状に注意!
猫の慢性腎不全でよくみられる症状です。
・お水を飲む量が増えた
・食欲不振
・体重が減る
・おしっこが増え、色や匂いが薄くなる
・口臭がきつくなる
・毛ツヤが悪くなる
・嘔吐が増える
このような症状がみられる場合は慢性腎不全の恐れがあるので病院に連れていきましょう。
腎臓病の予防方法は?
宿命とまでいわれるほど腎臓を悪くしやすい猫ですが、なるべく腎臓に負担をかけないよう気を配ることで腎臓病予防につながります。予防方法としては次のようなものがあります。
・お水をたくさん飲ませる
・塩分過多にならないよう食事に気を配る
・デンタルケアに気を配る
冒頭でも触れましたが、お水をたくさん飲ませることは腎臓病予防にとても有効です。
▼こちらの記事でわたしが猫にお水を飲ませる習慣をつけた方法を紹介しています。
猫の腎臓病は治る?
現時点では完治は難しい
猫の腎臓病は残念ながら現時点の医療では治すことができません。進行を遅らせるための治療をすることとなります。進行度合いにもよりますが、主に食事療法や内服薬、点滴などです。また、飲水量の管理も治療として重要なものとなります。
病院でこまめな検査を!
慢性腎不全の進行を遅らせるためには早期発見・早期治療が肝心です。猫の種族特性として腎臓を悪くしやすいことを頭に入れて、定期的な検査で腎臓の不調にいちはやく気付いてあげられるよう気を配りましょう。
近い将来、薬で治療できるようになる可能性があります
猫の腎臓病は治らないのか…とがっかりされた方も多いと思います。しかし、実は現在進行形で治療可能となる可能性が高い薬の研究・開発が進められているんです!開発が進み実用されるようになれば、腎臓病は猫の宿命なんかじゃなくなるかもしれません。
次の項目で治療薬についてと、開発を支援する方法についてご紹介します。
猫の腎臓病を治す薬の開発が進んでいる!
猫の腎臓病治療の開発とは?
東大大学院・宮崎徹教授をご存知でしょうか?東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター分子病態医科学の教授です。こちらの先生が猫用の腎臓病治療薬の開発を進めています。
研究内容をざっくりと解説
宮崎教授は元々は人間の病気についての研究をされていて、その過程で「AIM」というタンパク質を発見しました。そして研究を進めるうちに、人や犬・他の動物と比べて猫だけがAIMを持っていない( 持っているが他の動物のように機能していない )ことに気付いたそうです。
多くの腎臓病は、血液中の老廃物をろ過して体外に排出する為の通り道が詰まってしまうことで起こります。AIMが機能していればその詰まりを都度解消してくれます。猫にはこれが無いために腎臓を壊しやすいというわけですね。
AIMを猫の体内に注入してあげれば、腎臓病の進行を止めることが可能となります。獣医師さんによれば猫の平均寿命の2倍、最長で30歳くらいまで生きられるようになるそうです。
どうですか?ここまで具体的な研究開発が進んでいるとなると、すぐにでも実用化されるのではないかと期待してしまいますよね。しかし、そう簡単な話でもないようです。
猫の腎臓病治療薬の研究・開発状況
AIM製剤は一般的な薬と異なり、化学合成で迅速に作れるものではありません。培養してできた中にわずかに存在するものを純度高く精製するという通常何年もかかる工程が必要です。これには膨大な時間と労力、コストがかかるそうです。そうして開発した研究結果をベースに治験薬の製造をしますが、ここでも大変な時間がかかります。それらの工程を終えてやっとできた治験薬は、安全性等のテストをし、数ヵ月~数年単位での治験が行われた後に薬としての認可を受けるための審査を経てはじめて実用段階となります。
さらに、これまでの動物薬は人間用の薬を動物用に転用するケースがほとんどで、臨床試験以前の工程はスキップでき、開発までの時間が大幅に短縮できていたそうです。しかしAIM製剤は猫の腎不全のためにゼロから開発されています。タンパク質動物薬という世界でも前例がない状況で、手探り状態で進めざるをえない面も多かったそうです。
そうした苦労を重ねながらも、ようやく治験薬製造のための開発がほぼ終了して次のステップに進む…というところで、現在コロナの影響で治験薬製造がストップしているとのこと。
こちらから東京大学・宮崎教授の研究への支援ができます
せっかく猫の宿敵・腎臓病が治る可能性が現実的なラインにあるのに、開発製造が止まってしまっているのはとても悲しいですよね。なるべく早く製造が再開されるよう、宮崎教授の研究を支援することができる方法を2つご紹介します。
1.東京大学への寄付
東京大学の公式HPから寄付をする方法です。寄付金額は1万円から選択することができますが、任意の金額での寄付も可能です。また、「毎月1000円」「年2回5000円」など定期的な寄付設定もできるようです。
猫の腎臓病治療薬への寄付▼
▼申込画面はこんなかんじ。
送信時は、支援プロジェクト【宮崎徹教授の猫の腎臓病治療薬研究】が正しく選択できていることを確認しましょう。
2.宮崎教授の著書を購入
宮崎教授の研究を支援はしたいけど、寄付ってしたことないしちょっと敷居が高いなぁ… という方は、こちらの購入をしてみるのはいかがでしょう?
■猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見 / 宮崎 徹
宮崎教授の著書です。印税の一部が研究費に充てられるとのことです。手元に本があれば友人・知人に宮崎教授の研究について紹介する際にも便利ですよね。また、東大への寄付では制約があり、それに縛られず使用できる研究費も必要とのことですので 寄付はしたけど他の手段での支援もしたい! という方にもおすすめです。
――異例といえば、本書の印税の一部はネコと人間の腎臓病研究の費用に充てられることが明記されています。これはどのような経緯で決まったのでしょうか。
宮崎:時事通信出版局さんのアイデアです。通常よりかなり高い印税を設定していただき、その一部を研究費にという、信じられないようなご厚意をいただいています。今は東大への寄付が殺到していますが、正直に申し上げれば寄付金には制約が多く、あくまで「大学で行う研究」に使わなければならないのです。ネコ薬創薬のためにはフットワーク軽く使える研究費も重要で、本書の印税がその役割を担っています。本を買っていただくことが、ネコ薬創薬の大きな力になります。
宮崎徹さん「猫が30歳まで生きる日」インタビュー 〈治せない病気〉を治したい ――好書好日|Good Life With Books
無事に開発が進み、一日でも早く腎臓病に苦しむ猫が減る日が来ることを願いたいですね。
それでは、今回の記事はこのへんでおわりにします。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ではまた次回。
是非ほかの記事も読んでいただけたら嬉しいです。